知って得するビーチリゾート
たとえば、肝臓機能を評価する検査としてアルカリホスファターゼ(APと略する)という酵素の検査項目がある。
健康な成人での基準値は、一○二?二四九単位である。
急性肝炎や胆嚢炎などの病気で高値にった。
あるとき、病院でAPの検査を受けたという八歳の子供を連れたお母さんが外来に来られた。
APが四二○単位もある。
肝臓に何か悪いところでもあるのではないか。
こういう相談であんな小児では、APが高値をとるのがしごく当然なのだ。
らない。
というのも、APは、肝臓だけでなく、骨や腸でもつくられている。
骨の発育がきわめて盛実際にアイソザイムという検査方法で、APが肝臓か骨のどちらに由来したものであるかを区別したところ、その子のAPが高いのは骨の成分であった。
こう話すとお母さんはほっとして帰っていった。
こんな話はAPにとどまらない。
ほとんどの検査は、小児の特徴を十分に考慮して判断しなければならない。
そうしないと、このお母さんのように、不安にさいなまれてしまうことになる。
なるほどAPは高値だ。
、この基準値というのは健康な成人にたいしてだけ当てはまる。
婦人の病気で注意したいのは、乳ガンである。
乳ガンはイギリスでは女性一○万あたり四二・四人が、アメリカでは三一・六人が亡くなってり、深刻な問題となっている。
わが国では九・三人で、まだまだ欧米の三分の一から四分の一乳ガンは年々増加する傾向にある。
二一世紀にはおそらく女性のガンのトップになるだろさて、乳ガンは胃ガンや肺ガンと違い、体表から触れることが可能だ。
だから、簡単に診断できるだろう。
こう思われるかもしれない。
が、すでに第三章で紹介したように、見落とされるケースもままある。
ほかのガンも同じだが、大きくなってしまえば誰にでも簡単に診断がつけられよう。
だが、乳ガンがごく小さなうちに発見しようと思えば、判断にむずかしいことがよくある。
とくに大勢の受診者を対象とした乳ガン検診では、ガンを発見するためにおこなわれるにもかかわらず、発見できなかった実例があるのだ。
となれば、自分自身でときどき乳房を触り、ガンがないかどうかを調べておいた方がよい。
お風呂に入っているとき、石鹸をつけた状態で触ってみると、小さなガンも発見できることがあ健診や人間ドックには、このように多くの落とし穴が潜んでいる。
小さな見落としや誤った判定なら看過できるかもしれない。
だが、誤診のために大病の処置が遅れてしまったり、逆に過剰な判定のために夜も寝付かれないほどの心配をさせられてもかなわない。
では、落とし穴に入らないためにはどうしたらよいであろうか。
少なくとも十分注意して健診なり人間ドックを受ければ、被害は最小限にくい止めることができるだろう。
そして、有意義な結果を得ることができるに違いない。
落とし穴に入らないために、せめても実行できることを考えてみよう。
乳ガン検診で異常なしといわれたから安心というだけでなく、自分自身で身を守ることも重要だと思う。
何事にたいしてもそうだが、初めてのことに緊張しすぎる人をしばしば見かける。
とくに健診を初めて受けたり、病院に初めてかかるようなときには、緊張することが多いと思何かこわい検査でもされるのではないか。
もしも悪い病気が見つかったらどうしよう。
こんな不安感が先に立ち、緊張を呼び起こす引き金となるのだ。
もっとも緊張したからといって、検査に影響を与えることは少ない。
また、そもそも健診や人間ドックのように健康人を対象とした検査に、危険や強い痛みをともなうものはほとんどない。
だから、緊張しないで、リラックスして健診を受けていただきたいと思う。
その方が検査自体もスムーズに実行できる。
が、こうはいっても、やはり過度に緊張してしまう人がいる。
これから話すのは、健診で心電図検査を受けた人の話だ。
心電図は、あとでも話すように、心臓で発した電流をからだの外から調べるものである。
だから、からだに電流を流すこともないし、危険性はまったくない。
危険性があるとすれば、運動負荷心電図検査といって、動く歩道を歩いたり、自転車のペダルをこいだりして心電図検査を受ける場合である。
これは狭心症などの虚血性心疾患を診断するためにおこなわれる。
おもに病院の検査でおこなわれるが、心臓ドックでもおこなわれたりする。
心臓の発作が起こりやすいかどうかを検査するのだが、実際に検査している最中に心臓の発作を起こしてしまうことがあるのだ。
運動負荷心電図検査にはこうした危険性をも含めたうえで必要な検査である。
もちろん、発作が起きてもすぐに対処できるよう、医者が準備してひかえている。
だから、かりに発作が起きたとしても、問題になることは少ない。
これにたいして、通常に受ける安静時の心電図検査にはまったく危険性はない。
ところが、心電図検査などと聞くと、逆に外から電気を与えられてしまうと勘違いする人がいるらしい。
その結果、過度に緊張してしまう。
緊張すると、ドキドキするだろう。
これは、緊張が引き金となり、交感神経が興奮するためだ。
交感神経が興奮すれば、心臓の拍動が速くなる。
健診で心電図検査を受けた人は、心電図検査が初めてということだった。
心電図検査を開始してしばらくして、何とその人は不整脈の発作を起こしてしまったのだ。
心臓の拍動が一分間に一五○を超えてしまったのだった。
もちろん、急いで医者が処置をして、すぐに心臓の拍動は元に復帰し、事なきを得た。
このケースでは、検査自体が副作用を招いたというより、検査を受ける人が緊張しすぎたことが招いた副作用である。
健診や人間ドックを受ける前には、よく検査の内容の説明を聞き、リラックスして受けるようにしたい。
ふだんのんでいる薬が、意外にも健診や人間ドックで受ける検査を狂わせてしまうことがある。
そんな落とし穴にも注意が必要だ。
アメリカやヨーロッパを旅行すると、いつもびっくりすることがある。
アイスクリームを食べようとオーダーすると、なんと、真っ赤や真緑色のアイスクリームが出てくるのだ。
そういえば、子供が食べるキャンディの色だっていかにもどぎつい。
キャンディをなめた後の舌を見ると、真っ赤になり、血の滴るステーキを食べたあとのようだ。
食品の安全にはとりわけ配慮している国だから、着色料の色はドギッくても、安全性には心配ないのかもしれない。
だが、思わぬ影響がある。
毎週決まって月曜日に血尿が出るといって子供を連れてきたお母さんがいた。
子供の尿が赤いという。
血尿ではないかと心配しているのだった。
他の曜日には尿はふつうの麦わら色だそうだ。
尿をとって調べてみると、確かに赤い。
だが、顕微鏡で調べても、血液なんかちっとも混じっていない。
そもそも子供に血尿が出るような病気はさほど多くない。
では、この尿の色はいったい何なのだろう。
前日の夜の食事の内容を聞いてみた。
すると、その子は大のスパゲッティ好きで、日曜日はいつもケチャップソースたっぷりのスパゲッティを楽しみにして食べているという。
ここで、ふと、思いついた。
もしかしたら、着色料のたんまり入ったケチャップソースが、尿に色をつけたのではないか。
アメリカのケチャップソースはたしかに赤い。
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